君たちはどう生きるか

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私は以前、岩波文庫から出版されているこの本をM監督に教えてもらいました。

コペルくんの素朴な質問や発言、お手紙に対して真剣に向き合う叔父さんはまさにM監督のよう。特に生産者と消費者のところは私も頭が痛いところです。また、コペルくんは素直で正直で、観察力や考えも子供らしく、それでいて深く掘り下げているので、ふたりのやりとりは本当に面白く、大好きな本です。

「北見くんが上級生に殴られる」という噂がたって、友達の家で夜に話し合う場面。家業がお豆腐屋さんの浦川くんが、こう提案します。

「北見君がもし上級生に呼ばれたらさ、僕たちも一緒についていくんだ。もし黒川なんかが北見君を殴りそうになったら、僕たちは、僕たちも一緒に殴れっていってやるのさ。何もしない北見君が殴られるなら、僕たちも一緒に殴られてやるってそういってやうるのさ。そうすれば、まさか殴られやしないよ。」

「それでも殴るっていったら?」

「そうしたら、僕たち、北見君と一緒に殴られるの。仕方ないもん」

北見君は自分のためにみんなが同じ目に会うようなことがあると悪いや、といってしきりに辞退しましたが、皆はそんなこと気にしないでいいと断言しました。(後略)

 

なんて良い考え。もしかしたら、少し身体に痛みを伴うかもしれないけれど、心は全く痛みません。友達っていいな、息子もこういう考えができる子になってほしいと思いました。ドラマや映画ではヒーローが登場して助けてくれるけれど、現実には地味で自分でひとつひとつ解決、決断していくもの。

この本に出てくる少年たちの考えや行動は素直で感心しました。

 

そして、 このあと、コペルくんは約束を果たせないのですが、そのときの気持ち、後悔…人生一度は誰もが経験している感情です。その時は辛いけれどこの経験によって、人は成長しているのだと改めて感じました。息子が同じような経験をしたとき、正直に謝る勇気を私も提案したい。そして息子の気持ちに寄り添いたいと思いました。

 

改めて読み返してみたこの本、今読んでも生き方について勉強になることばかり。この原作が漫画になったとのこと、多くの人に読んでもらいたいです。